バルブユニットの分解

TOTO製のネオレストSD1(TCF9562)の水漏れした古いバルブユニット(TCH785N)を分解してみた。

結論から言うと漏れの原因はパッキンの加水分解よる劣化と思われる。

(恐らくカーボンの黒粉現象(黒く汚れる)によるシール性の低下と思われる)

他パッキン類を触ってみても際立つ黒粉現象が見受けられない(強く擦ると診られる)がパッキンの固体差だと思います。

尚、以下は個人的な見解なので、間違っている可能性もありますのでご了承下さい。

 

1、バルブユニットの水経路

バルブユニット(VU)の水路を辿ってみますと、写真のように入水口から入ってくる水①→水抜き栓②→トライアック部分③→上に上がり④→減圧弁を通り電磁弁、そして出水口⑤と流れて、熱交換器ユニットへ行くようだ。

 

2-1、水の流れに沿って、入水口の部分から分解してみました。

Oリング(パッキン)の材質は水栓に多く採用されるEPDM、NBRあたりと思います。

尚、OリングのサイズはΦ15.3、Φ10.9、Φ2(径方向)~2.5(厚み方向)mmでしたが、ヘタったOリングなのでサイズは参考まで。

 

 

2-2、入水口側から水抜き栓の中継部分を分解してみました。

Oリングの線径は入水側Φ11.4、Φ8.9、Φ1.6(径方向)~2.0(厚み方向)mmで、出水側Φ11.3、Φ8、Φ1.6(径方向)~2.0(厚み方向)mmでした。

 

 

2-3、中継部分から水抜き栓の部分を外してみました。

赤の点線矢印は水抜き栓を取り去るとVU奥の水路内(逆止弁以降の内部の部分)の水が抜けるようになっています。

’水抜き栓先端の小さいOリングは逆止弁のところまで貫通しており普段は止水されています。

 

 

2-4、水抜き栓からトライアックという電子部品の部分を分解してみました。

トライアック(SANREX、GT16C40)部品はウォシュレットの温水又は便座のための発熱を水冷で兼ねていると思われ、放熱グリースが塗られていたのか跡が残っていました。

パッキンは特殊な形状の物でした。(サイズは写真参照)

 

 

2-5、トライアックから逆止弁、そして減圧弁の手前まで分解してみます。

VU本体の部品のグレーの材質は恐らくPPS材で白色はPOM材と思われ、POMは難接着材なので今回のような漏れによる接着剤による止水は難しいと思います。

 

パッキンはシート状の物が一体成型された特殊な形状していますが、これは異形パッキンが挟まれる相手がプラスチック(引け、反り等)同士のために、漏れのリスクを低減させるためのものと思われます。

(シート状の無いOリングのような形状のものだと漏れリスクは単純に2倍)

 

そして実際の漏れ箇所の特定した部分とプラスチックに漏れた滲み跡(写真参照)が見受けられましたし、パッキンをティッシュで拭くと一部に黒粉現象で溶け出しが分かることからパッキンの劣化による漏れと分かる。

具体的にパッキンのどこの部分が漏れたか不明で、パッキン上部からの漏れだとパッキン回りを伝って下に流れ出たかもしれません。

(”ネオレストのバルブユニットの水漏れ箇所の確認”というタイトルの投稿で、パッキンを伝って漏れが脇の部分に現われてきたのかも知れない)

 

水が流入する羽みたいな部品は逆流防止する逆止弁と思います。

水圧が流入するとOリングの付いている中心部の部品が押し出されて水が流入します。

逆に、逆流しようとするとスプリングでOリング部分が押し当てられて逆流しないようになっています。

 

逆止弁が無いと断水や水圧低下した場合、減圧弁のダイヤフラムの撓みが元に戻ってしまいます。

そのとき水圧が急激に戻ったときに水圧がダイヤフラムを撓ます前(減圧弁が動作前)に一気に電磁弁に水圧負荷が掛からないようにするためだろうか。

または、水圧が無くなった時にウォシュレットノズルから空気が入って行き、ウォシュレットからの流水のタイムラグを起こさないようにするためだろうか。

Oリングの線径はΦ1.8mm、外径Φ10.6mmでした。

 

 

2-6、逆止弁から減圧弁までを分解してみます。

 

ダイヤフラムに水圧が加わるとダイヤフラムは外側に膨れシャフト部分VU本体穴に押し付けれ、パッキンが無いことから水圧は弱い状態を維持し、電磁弁に掛かる水圧の負担を軽減していると思います。

電磁弁がONになると水が流れ始め、水圧が一時的に低下するとスプリングの力でダイヤフラムが押し戻され同時にシャフト部分の止水部分(VU本体穴部分)が開き、水が流れ始め電磁弁がOFFになるとダイヤフラム内の水圧が上昇しスプイング力より勝るとダイヤフラムの膨れ、シャフト部分(VU本体穴部分)が止水(水圧を弱める)する。

また、家庭内の水の使用や水洗時の水圧低下がウォシュレットの水圧に影響させず一定に保つための役割もあると思います。(何Paに減圧しているかは不明ですが)

 

 

2-7、断熱材が貼られている部分を分解してみます。

 ここは機能的な部分はなくVU本体を構成するに当たって金型成型上、仕方なく空いた部分を閉じたものと思います。

 断熱材は間近にトライアック部品で加熱された温水が間近な部品に伝わり難くしたのか保温でしょうか。

 パッキンを乾燥させると白い物が付着していることから塩素やミネラル成分が確認できます。

 

 

2-8、電磁弁の部分を分解してみます。

  パッキンが入っているシャフトがソレノイドへの電源ON/OFFで動きます。

  電源ONでシャフトがソレノイド内に移動(流水)し、OFFでスプリングに押し戻され止水するようです。

 

 

2-9、出水口部分を分解してみます。

このサーミスタはVUのトライアック部品で温められた水や流入する水温を監視していると思います。

サーミスタ部分のOリング線径はΦ7.4、Φ3.7,Φ1.8(径方向)~2(厚み方向)mm、流入側のOリングはΦ9.4,Φ5.9、Φ1.7(径方向)~1.9(厚み方向)mmでした。

 

 

2-10、考察

水漏れ原因は2-5のパッキンの劣化でした。

今回、VUはネットで購入できましたが、いずれ入手困難になる可能性があります。

また、新たな別型番VUに使われているパッキンが今回のVUと同じパッキンを使用されているかは流石にメーカーでないと分かりませんが、TOTOに問い合わせても回答は得られないでしょう。

2-6のようなダイヤフラムのような特殊なゴム部品が劣化してしまうと代替えは難しいが、Oリングは比較的に調達し易い(市販品)と思います。

もしかしたら後継トイレはVU型番が違うとも類似品は、同じパッキンを使用されている可能性はゼロではないと思いますのでダメ元で類似品を注文してみるかです。

(パッキンなどの金型品は、金型代や償却費の関係で既存部品を使ってコストを抑えることもありますので)

 

今回の漏れ箇所は水圧が掛る部分ですしVU本体自体、難接着材のため接着剤塗布による止水は難しいでしょう。

 

修理不可能だと最悪は便器丸ごと交換で、同じタンクレスだと30万円前後(後継機モデルがあるとウォシュレット便座だけの交換で済むことも)、タンク式で10~20万円と言ったところでしょうか。